たまゆりのたからばこ

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たまゆりの人生に詰まった、たくさんのだいすきなものを紹介するための自由帳です。 好きな本、好きな音楽、好きな映画、好きな場所や土地、旅のこと、登山のことや、日常のなにげないしあわせのことなどを大切に書いていきます。







真っ青な海、色とりどりの屋根、したたる緑。色彩豊かな三重県鳥羽市の神島へ。【その2】

 

三重県鳥羽市、伊勢湾に浮かぶ「神島」へ行って来ました。

さて、この前は前置きだけで終わってしまったので、今日はちゃんと神島に渡るところから。

 

前回の記事はこちら。

 

鳥羽駅からフェリーで40分

目的地の神島までは、鳥羽フェリーターミナルから鳥羽市営の定期船で約40分。

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ちなみに、地元駅である犬山を始発の5:24に出発して、名古屋駅で近鉄線に乗り換え、約2時間半くらいかけて鳥羽駅に到着しました。

 

船はけっこう大きくって、立派。真っ白で太陽にまぶしい!わくわくしてきます。

デッキにも出られるみたいでしたが、電車の長旅で体が冷えていたのでおとなしく船内にいることに。

 

途中、船が揺れて水しぶきがばっしゃんばっしゃん、朝の光にきらめいてほんとうに美しかった!

 

 

なぜ海を見たくなるんだろう?

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前の記事にも書いたのだけれど、ああ疲れたな〜とか、もうやだ〜とかいう時や、何かを清算したい時、頭の中や心の中をすっきりさせたい時、自分の中でなにかにさよならを言うとか、新しい自分に向けて舵を切るとか。

そういう節目の時、どうしても心が海に向いてやまないんです。もう昔のことだから書くのもちょっと恥ずかしいけど、今から3年くらい前に生きるのが嫌になってもう死んでやろうかな、と思った時も、自然と車は海の方を目指して走っていた。

 

でもね、遠いんだよね、海!笑

もともと生まれたのも海なし県の岐阜で、育ったのも海からは遠い犬山。

だからこそ憧れや、ただただ広い開放的な景色への飢餓感?があるのか、それともそういう星の元に生まれついた的なサムシングなのか…。

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なぜかはわからないけど、本当に海はいつもこういう時にわたしを助けてくれます。

 

そう、だから、そんな大好きな海に来られたんだ!やった〜〜!!

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というので、フェリーからこのキラキラした水しぶきと青くゆるくうねる波の向こうに島が見えた時本当にうれしくなりました。

 

 

テトラポットに住む島の猫たち

こうしてたどり着いた神島は、本当にのどかでのんびりしていました。

フェリーに乗っていた人たちで一瞬にぎやかだった港も、それぞれ旅館だったり、釣り場だったり、あるいはお家だったりへ歩き去って、あとはゆっくりとした時間が流れるばかり。

 

事前に他の人の旅行記を読んで、島の周りをぐるりと一周できることは知っていたので、ろくに地図も見ないで歩き出してみます。なんといっても時間はたっぷりある!

 

すると、第一島人…でなく、第一島ねこ発見!!

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何匹も(5匹くらい?)いて、みんなそれぞれ日向ぼっこして、ぐで〜んっとしてるんですが、おもしろいのは、それがテトラポットの上ってこと。

 

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島で暮らす猫にとっては、テトラポットが絶好の隠れ場であり住処になっているのかもしれません。いくつも重ねられていて覗き込むとぞっとするようなテトラポットタワーを、縦横無尽に駆け回る猫たちは、誰だお前どっから来たんと言わんばかりに私を遠巻きに見つめておられました。

 

どうやら、この道は私の目指す場所へは続いていないようです。

第一島人にも警戒されたことだし、ひきかえして別の道を進むことにします。

 

 

200段の階段の先には、緑したたる八代神社

こうして、人がやっと一人通れるくらいの狭い路地をぬっていくと、神社の石段に出て来ました。

 

ここは、三島由紀夫の小説「潮騒」で主人公の新治と初江もたびたび訪れた場所。

小説の中にもあった通り、この神社はまさに島の町のてっぺんにあって、境内に立つだけで、島の人々の平穏なくらしの願いと、海の恵みへの感謝がじんわり伝わってくるよう。

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ひいひい言いながら石段を登り、たどり着いた鳥居のむこうは、したたるような緑と木漏れ日、隙間からのぞく真っ青な海が印象的なとても気持ちの良いところでした。

 

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古い狛犬が顔を近づけあって置いてありました。苔むした背中、表情も迫力があるけれど、どこか優しい感じがします。

 

 

真っ白な灯台と真っ青な海、無数の船影

そうしてそのままさらに上へ上へ、山の中を歩いて行くと、同じく小説に登場した真っ白な灯台が現れます。

ここからの景色があまりにも気持ちよかったのと、ここで出会った三重県からのご夫婦の旅の方との話がはずんでしまい、灯台そのものの写真を撮り忘れてしまいました(笑)

 

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すぐ近くには愛知県の伊良湖岬の突端が見えます。

大きいタンカーから小さなボートまで、たくさんの船が青い水面に浮かんでいました。

 

耳には、ずっと打ち寄せる波の音が響いて来ます。

ああ、全身で海を感じている…!

 

 

崖の上から見下ろす、ターコイズ色の鮮やかな海

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その先も、緑が生い茂る山道をずんずん歩いて行くと、昔戦時中に砲撃の着弾点を観測していたという、監的哨の跡があります。

これも、小説にもクライマックスシーンで登場する大事な場所なのですが、写真を撮り忘れました(笑)

 

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でも、ここから見下ろした崖の下の海の色が、目が醒めるような濃いブルーと、深いのにまぶしいターコイズブルーで、思わず見とれました。

 

ターコイズ色の綺麗な海、というとつい私なんかだと沖縄の方とか、日本海あたりを想像しがちですが…。

同じ愛知県(神島は三重県だけど!)で、こんな綺麗な海が見られるんだなぁと、感激してしまいます。

 

 

島のおばあちゃんの話

このあとさらに歩いて行くと、海女さんたちが漁をするニワの浜というところにたどり着きます。

先ほど灯台で会ったご夫婦と、地元のおばあちゃんが話をしていたので、いっしょになってお話を聞きました。

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おばあちゃんも昔は海女さんとしてこの浜で海にもぐっていたのだそう。だんなさんは船乗りとして、日本中の港をまわって仕事をしていたんだって。

 

そんなおばあちゃんの話で特に印象的だったところ。

「今は、大人になったら島を出て行ってしまう子供も増えたけれど、忘れちゃいかんもんもある。

海の神さまは、必要なものを必要な時に与えてくれる。そのことにちゃあんと感謝して、大切に暮らしていくことを、子供、孫の世代にもちゃあんと伝えてゆかんといかんなぁ。」 

 

「なんたってもここは、神の島やからねえ。」

と、まぶしくって、誇りでいっぱいの笑顔で言ったおばあちゃん。

 

ほんとにここは、神の島なんだなぁ、と思いました。

 

 

祈りのある暮らし

小説の中だけじゃなく、本当に、大事なものを大事にして生きている。

小説の中で、主人公の新治が神社に捧げた祈りを思い出しました。

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「神様、どうか海が平穏で、漁獲はゆたかに、村はますます栄えてゆきますように!

わたくしはまだ少年ですが、いつか一人前の漁師になって、海のこと、魚のこと、船のこと、天候のこと、何事も熟知し熟達した優れたものになれますように!やさしい母とまだ幼い弟の上を護ってくださいますように!海女の季節には、海中の母の体を、どうかさまざまな危険からお護りくださいますように!

…それから筋ちがいのお願いのようですが、いつかわたくしのような者にも、気立てのよい、美しい花嫁が授かりますように!」

 

素朴で、優しくて、なんて等身大な願いなんだろうな、と思います。

 

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おばあちゃんの言うように、島の人口はどんどん減って、こうした暮らしも、日本やあるいは世界中の集落で、今どんどん失われつつあるのかもしれません。

だけど、たとえ同じ形ではなかったとしても、こういう祈りを、こういう祈りのある生活を、人間が続けていけるような世界であればいいなぁと、それを少しでも多く未来へ繋いでいける生き方ができたらいいなぁと感じました。

 

誰かと一緒に見る景色も、ひとりで見る景色も大切にしたい

今回の神島への旅は、少し前に「海を見たい!」という衝動がやってきてからしばらくあっためていたものでした。

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自分にとっては、ひさしぶりのひとり旅。やっぱり大変だなぁ、ひとりって孤独だわぁ…。と思う部分もありつつも、だからこそ感覚が研ぎ澄まされる気がします。

より色鮮やかに、鮮明に、目にしたものの美しさ、あるいは醜さが心に飛び込んでくる。

 

これは私の最近のテーマだと思うんですが「誰かと一緒に見る景色も、ひとりで見る景色も大切にしたい」。

 

逆に今までは、たとえばひとり旅のような、孤独だからこそ鮮明で時に痛みも激しいような経験ばかりをしてきていた気がします(人との関わり方がわからなかったから)。

それが、少しずつだけど周りに人がいてくれるようになって、一緒にきれいな景色や、見たことないもの、やったことのないことを経験できることが増えて。

 

そのはざまで、どちらに舵を切ればいいのか、私はしばらく悩んでいた気がします。

けれど、今回の神島への旅を通じて、答えが出た気がする。

 

どっちも大切にしたい!誰かと一緒に見る景色も、時には孤独な景色も。

そんなことを教えてくれた本当にすばらしい旅でした。

 

 

みなさんも、ぜひ、神島を訪れてみてください。

気になった方は、三島由紀夫の小説「潮騒」をどうぞ。

 

潮騒 (新潮文庫)

潮騒 (新潮文庫)

 

 

忘れかけていたり、覚えていてもないがしろにしてしまいそうな、だけどとっても大切なものを、思い出させてくれる島、小説です。

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それじゃ!また!たまゆりでした。