たまゆりのたからばこ

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たまゆりの人生に詰まった、たくさんのだいすきなものを紹介するための自由帳です。 好きな本、好きな音楽、好きな映画、好きな場所や土地、旅のこと、登山のことや、日常のなにげないしあわせのことなどを大切に書いていきます。







よしもとばなな「王国」を読んで。忘れてたいちばん大切なこと、久しぶりに思い出した。

よしもとばなな/王国 BOOK

 

なんだか近頃のわたしは、いちばん大事なことを、わたしにとって一番大事だったことを、しばらく、長いこと、忘れていた気がします。

 

 

私はよしもとばななさんの小説が大好き。もちろん、エッセイも大好き。

今日、さっき、とっても久しぶりに、よしもとばななさんの作品を読んだ。

 

王国―その1 アンドロメダ・ハイツ―

王国―その1 アンドロメダ・ハイツ―

 

 

ずっと、そばにあったのに、あるような気はしていたのに、気がつけなかったやさしいなにものかを、ちゃんと思い出させてくれるために、その本は今日私の手元にあって、わたしに手にとらせ、ページを繰らせた。

 

ああこういうあったかいかんじ、久しぶりだな。

どうして、どうしても、忘れちゃうんだな。たまぁに。いいや、けっこうしょっちゅうかな。

 

そんな私の気持ちが、まさにこの小説のあたまのところで、書かれていたからまずおどろいた。

今日は、もしかして今後また私が同じようにわたしにとっての「たいせつなこと」を忘れてしまった時のヒントになるように、なによりいまのわたしのためにも、ここへメモさせておいてもらいたいと思います。

 

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このあいだ、私の住む犬山にある「せせらぎルート」という山歩きがとってもすてきだったので、その写真もまじえて。

 

これは、守られている女の子の生き方の物語だ。


身内の愛情に、そして目に見えない存在に、それから育った土地のエネルギーに、今まで与えた分の感謝の気持ちに……何重にも、虹の輪のように、私の周りには愛情の輪がある。

 

どこまでもいつまでも大きなものに守られて生きていく、たとえたまにそれを忘れて傲慢な気持ちになることがあっても、一人で生きているような気持ちで暴走しても、それさえも包んでいる何かがある。本人は孤独を感じたり悲しみや試練に大騒ぎしてじたばたといろいろな感情を味わっているが、大きな大きな目で見れば、実はいつでも守られている。

 

守られながら世界をじっと見つめる、神様から見ればいくつになっても幼いある女の子、その目で見つめたちっぽけな、でも全てが新鮮に輝く世界。そういう小さな物語だ。

 

-「王国<その1> 」単行本p15より

 

ああ、それはまさに私の物語なのかもしれない、と思った。私の物語って、きっとこうだ。

いつだって、いろんな大切なものに、それは身近な人、あるいは亡くなった人、人ではない色んないのち、あるいは死んでしまったもの…ほんとにいろんなものに守られている私の道。私の人生。そしてそのことをすぐに忘れてしまって、暴走して、傲慢ちきにふるまって、だけどなにかがまた思い出させてくれて…そんなことをくりかえす私の人生。私の物語。私の道そのものみたいな、これは一文だなぁと思った。いとおしかった。

 

わたしにそのことを思い出させてくれるその「なにか」は、私にとってこうやってよしもとばななさんの小説だったりする。よくする。

 

 

私は不思議な精神状態であった。よく本の中で、自分が帰依できる導師に出会うと、こういう気持ちになると書いてあった。多くの人が信仰に入ったきっかけとしてそれをあげていた。


私は読むたびに「ばかだなぁ、一緒の催眠術にかかったんだ、きっと」と思ったものだった。しかし、いざ自分の身にそれが起こってみると、あまりにも扱いかねる大きな感情だった。

 

押し寄せてくる懐かしさ、切なさ、そして帰りたいという気持ち。この人がいつもいる世界こそが私が求めていた世界だと、全身の細胞がうちふるえていた。ものすごい量のエネルギーが暖かい真夏の午後、陽に透けているきれいな波みたいに、くりかえし熱くそして涼しく押し寄せてきていた。

 

-「王国<その1> 」単行本p50より

 

主人公の「雫石」が出会った友達「楓」。雫石は彼の事をこんなふうに書いている。

私にとってのそういう存在が、まさにすごく、よしもとばななさんの作品なのだなぁと思った。

 

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この人のいつも生きている世界へ行きたい。帰りたい。

思えば、去年くらい、はじめてよしもとばななさんの作品に出会って、それを貪るみたいに読んでから、ずっと「よしもとばななさんの小説の主人公のように生きていきたい」というのは、私の曖昧な、それでいて揺るがぬ夢だった。また、長いことその夢、忘れてたけどさ。

 

 

自分が何かしてあげている気になったときがおしまいのときだ、とおばちゃんがいつも言っていた。


「神様が、何かをしたくてもあっちには言葉がないから伝えられないでしょう?だから私みたいな人が代理で働いているだけで、私が何かをしているわけではないんだよ。そしてすべての仕事は本来そういうものなんだよ。」

 

-「王国<その1> 」単行本p22より

 

近頃のわたしはほんと、傲慢だった。

「自分が何かしてあげている気」に、いつだってなっていた。そんな自分がどこかでちがう、ちぐはぐだ、息苦しい、こうじゃない、って思いながらも、それさえわからない霧の中で、なにがなんだかわからなくなってたの。

 

「大切なのは、誰か大きな存在が自分に授けてくれた情報を、自然に、流れるように、自分を消して流れるままにしておくことなのよ。」

 

-「王国<その1> 」単行本p55より

 

そうだ、そうだよ、そうだったじゃないの。

いつか自分でだって書いてた、「わたしは世界からもらったありのまんまのうつくしいものを、その美しさを、なるべくそのまんまで次のところへ受け渡せるような、透明なパイプでいたい」って。

この日記でした。

 

 

本、っていうのはほんとうにすばらしいものだと思います。

会えない人でも助けてもらえるもの、こうやって。よしもとばななさんの小説にでてくる魔法使いみたいなおじいちゃん、おばあちゃんみたいに、相談にちゃんとのってくれて、必要な言葉をくれる。

 

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そういうのもひっくるめて、ぜんぶ、生身の人間もそうじゃないものも、いのちであってもものであっても、なにかこころのこもったものが、なにかが、いつだって助けてくれて、守ってくれている。

 

そういうことを、忘れないでいること。忘れちゃうんだけどね!

だけど、忘れて、また思い出して、生きていくんでしょうね。

 

「ずっと変わらない生活なんて全然面白くないよ。

それにいつかきっと大きな意味で、うまく行く日も来るよ。人のいるところには必ず最低のものと同時に最高のものもあるの。憎むことにエネルギーを無駄遣いしてはいけない。最高のものを探し続けなさい。流れに身をまかせて、謙虚でいなさい。そして、山に教わったことを大切にして、いつでも人々を助けなさい。憎しみは、無差別にあなたの細胞までも傷つけてしまう。」

 

-「王国<その1> 」単行本p33より

 

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そうだな、きっとこうやって少しずつ、らせん階段をゆっくり上へ上へのぼっていくみたいにして生きていくんだと思う。

また同じ場所だ、また同じ霧の中だ、って思っても、きっとそれは前の自分とはちゃんと違うとこにいて、前へ進んでる。上へのぼってる、そんな感じ。ぜんぜん、うまくいえないんだけれど。

 

 

なんだかとっても元気が出ました。

ほんとに、こんな気持ちになれたのは、久しぶりだって気がする。

 

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私が傲慢なときも、暴走しているときも、そばにいてくれるものたち、ありがとう。

この人生、なにができるのかなぁ。真摯に生きたいです。

そしてやっぱり自分にうそをつかないで生きたい。どうやってやるのかずっともっと模索しなくちゃいけないけど。焦らず順番ずつ歩いてこ。地面に落ちた木の実が自然に土に埋もれいって、それがやがて芽を出して、ゆっくりゆっくり枝を伸ばして、幹を太くしていくように。そしていずれまた実をつけるみたいに。なんかわかんないけど、そんなかんじ。

 

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この間、近所の山にいっぱい落ちてたつやつやのどんぐりや、しなやかでたくましい若い木の幹たちがちゃんと教えてくれてました。あのとき、うっすらとしか気がつかなかったけど。

 

いっぱいやりたいことあるなぁ。一歩ずつ叶えよう。

 

それじゃ、おやすみなさい!

たまゆりでした。

 

 

王国―その1 アンドロメダ・ハイツ―

王国―その1 アンドロメダ・ハイツ―

 

 

王国〈その1〉アンドロメダ・ハイツ (新潮文庫)

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